東京ルミナスピラー
てっきり俺を襲うものと思っていたから、向きが変わって動くのが遅れた。


「おいおいおいおい! マジかよちくしょう!」


女性の前に立ち、ハルベルトを握り締めていた宗司が焦りながら、迫り来る鬼に向かって武器を突き付けた。


鋭い爪が宗司を襲うが……柄の長いハルベルトは、その爪が宗司に届く前に鬼の心臓を貫いたのだ。


「ギャッ!」


そう、声を上げたが、まだ鬼は死んではいない。


苦しみながらハルベルトを足で掴み、引き抜こうとしている。


「嘘だろ!? これで死なねえのかよ!」


この一匹だけじゃない。


宗司が手間取っている間にも、もう一匹の鬼が女性に迫る!


「ま、間に合え!」


祈るように駆け出したが、どう考えても間に合わない!


完全に裏をかかれた!


と、自分の愚かさを嘆きそうになった時。








宗司のハルベルトに貫かれた鬼が豪炎に包まれて炎上したのだ。


いや、それだけじゃない。


「まったくよ。テメェの手に負えねぇのにかっこつけてんじゃねぇよ」


急降下した最後の鬼目掛けて、ロングソードによる三連撃が炸裂し、鬼は空中でその身を分断されて黒いモヤへと変化したのだ。
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