東京ルミナスピラー
「まさかお前、一撃も食らっていないとでも思っていたのか? アドレナリンで痛みが麻痺していたのか。相手は『死神』北条恵梨香。お前の母親だぞ? 極限まで意識を集中させれば、攻撃を食らった一瞬で反撃に転じるのは容易い」


だから母さんは、ずっと防御姿勢を取っていたのか。


倒すには倒したけど、まさか反撃を食らっていたなんて思わなかった。


慌ててPBSを開こうと、目の前をスワイプするが……PBSが開かれない。


「な、なんで! これじゃあ回復出来ないじゃないか!」


「最後の戦いに、そんな無粋な物は必要じゃないだろ。俺も回復なんてくだらないことはしない。さあ、後は俺だけだ。お前の力、見せてみろ! 葵!」


「それなら最初から言えよ……後出しとか卑怯だろ!」


この様子だと内臓にダメージがある。


さらに左腕がなくて、血がボタボタと流れ落ちている。


この激痛の中で、回復もせずに戦うのか。


右手のトンファーを日本刀に持ち替えた俺は、震える身体を落ち着かせる為に深く呼吸をした。


「お前も聞いたことがあるだろう? 高レベルな戦いであればあるほど、実力差が拮抗してればしているほど……勝負は呆気なく、一瞬でつくんだ」
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