東京ルミナスピラー
「あっぶなかったねぇ。でも、見てくれた? 魔法の威力が上がったんだよぉ!」


杉村とひなたさん。


助けるつもりは無さそうだったのに、駆け付けてくれたのか。


おかげでこの女性を守ることが出来た。


俺と宗司だけじゃあ、守り切ることが出来なかったからな。


「あ、ありがとう杉村さん」


「おい、ピヨ、ブザー、歯ぁ食いしばれ」


「え?」


身構えるより先に、杉村のパンチが俺の頬に打ち付けられる。


ゴスッという音が顔から聞こえて、俺は後方に吹っ飛ばされて地面に倒れた。


「ちょ、ちょ、まっ……」


宗司も殴られたのだろう。


鈍い音が聞こえて、俺は頬を押さえてゆっくりと立ち上がった。


「ヘイヘイ! テメェらのやったことは、チームワークを乱して仲間を危険に晒す行為だ! 個人で動いてるなら好きにすりゃあ良いがよ、勝手な行動はやめろ! ちょっと強くなったからって、何でも出来ると思うのは大間違いだぜ!」


……完全に杉村の言う通りで、悔しいという感情すら湧かない。


実際に、俺と宗司だけでは、鬼は倒せただろうけど、女性は生きていなかっただろう。


「す、すみません」


心底そう思ったから、素直に謝ることが出来た。
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