東京ルミナスピラー
その時、俺は微かに胸に感じるリングの感触に気付いた。


慌ててそれを首から外し、右手の親指に紐を引っ掛けて柄と手を固定するように回して。


丁度人差し指の所に来たリングに人差し指を引っ掛けて、手に日本刀を固定した。


不安定な事に変わりはないけど、指二本で持つよりは全然マシだ。


それに……灯と一緒に戦っているという気になれる。


「終わらせる! 苦しみも悲しみも! この街で生まれてしまった心を引き裂くような悲劇の全てを!」


顔をしかめて、自分の顔をバシッと叩いた父さんに向かって、これ以上ないくらいの速度で迫る。


「俺は……まだ負けるわけにはいかないっ! この街の、この塔の主になるということはそういうことだ! お前の願いがくだらないものならば、俺はそれを打ち砕く! その為に俺はいる!」


「くだらないものかよ! 俺は繰り返させない! こんな街も、犠牲も! 何もかも!」


ふらつきを強引に治し、迫る俺に横一文字に日本刀を振るった父さん。


片目が機能していないのか、間合いがめちゃくちゃだ。


俺に当たるよりも先に、日本刀が俺の前を通り過ぎ……いや、これはまずい!
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