東京ルミナスピラー
一瞬感じた死の匂いに、慌てて俺は、振られた日本刀の下を潜るように床に滑り込んだ。


見えない刃。


本来の日本刀の刀身よりも少しだけ長く、見えない刃が存在する。


それを察知した俺は、ギリギリのところで回避して、自分の髪の毛が僅かにそれに切断されたのを、舞い散る毛髪を見て知ることが出来た。


父さんの懐に飛び込み、すぐに立ち上がった俺は、前に出された膝を足場に、父さんの身体を駆け上がった。


まだ、勝利のイメージが湧かない!


このまま紅散花閃に行くべきか……だけど父さんには過去に、当て付けのような破られ方をしている。


片腕を失った俺に、紅龍狂咲閃は使えない。


だったら!


「またあの技か!? 一度破ってやったのに、まだその技にすがるか!」


頭上に飛び上がった俺を追って、父さんは日本刀をクルリと回して上に向けて構え、真上にいる俺に刃を突き付けたのだ。


だが、その攻撃は俺をすり抜け、日本刀が触れた俺の像も四散した。


瞬間、父さんの顔面に、トンファーを間に挟んだ後ろ蹴りが放たれる。


そう、俺は飛び上がったと見せかけて殺気分身を作っていた。


この重要な局面で、一番俺が取りそうな行動に殺気分身を重ねるなんて、父さんには予想出来なかったのだろう。
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