東京ルミナスピラー
でも……浅い!


瞬時に分身だと判断して回避姿勢に入ったのか、派手に吹っ飛んだように見えて、わざと飛んで威力を殺したような手応えだ。


その証拠に、父さんは回転しながら床を滑り、すぐに立ち上がると、まだ着地もしていない俺に向かって飛び掛かって来たのだ。


「お前の願い、感じたぞ。だが、俺を超えなければその願いが叶うこともない!」


接近しながら横に振られた日本刀を、足の裏に取り出したトンファーで受け止める。


武器破壊はされないものの……衝撃がモロに身体を伝って。


傷めた内臓を刺激し、血が流れ落ちる左腕と右手にも影響があったのか、口から傷口から、また血が吹き出して、俺は吹っ飛ばされて空中を舞った。


「葵……まだお前は俺を超えるには早かったようだな。せめてひと思いに葬ってやる。必殺……黒狼爪牙閃!」


血を吐き、まだ着地出来ていない俺に、父さんがとんでもなく荒々しい動きで迫る。


床を踏み締める足は、しなやかでいて床を破壊するほどに乱暴に。


鬼気迫る表情は、飢えた狼のよう。


そして、俺の着地点に父さんの日本刀が迫っていた。


回避しなければならないのに、その手段がない。


トンファーで受け止めたとしても、さっきよりも強烈な衝撃であることは明らか。


それに俺の身体が耐え切れるかどうか。
< 1,463 / 1,486 >

この作品をシェア

pagetop