東京ルミナスピラー
「そんなこともなかったりするかもよ? だって俺はまだ、死んでないからね」


「何っ!?」


その声に慌てて見上げた父さん。


肩に乗っている俺に、そこでやっと気付いたのだろう。


俺は着地の衝撃を0にするスキルを持っているから、父さんからしても肩に乗られた衝撃を感じないということだ。


いや、そこじゃないな。


俺がなぜ生きているかというのは、父さんが殺気分身を斬ったからだ。


手応えを感じたのも間違いじゃない。


切断されていた左腕を、今度は根元まで持って行かれた。


父さんの攻撃の軌道はずらせなかったけど、俺の身体を無理矢理移動させたのだ。


それでも回避しきれずに左腕をやられたわけだけど。


その手応えと血飛沫が、父さんに「俺を両断した」と錯覚させることになったわけだ。


「最後に待ってるのが父さんで良かった。ほら、俺の日本刀ってさ、父さんのと同じものなんだろ? だから、反りがピタリと合ってる」


父さんの肩の上にいるのは、何も回避した結果じゃない。


左手に握り締めた鞘を借りる為だ。


俺の日本刀が父さんの鞘に納められて、チャージが完了した。


「まさか……そんな手を使うとは!」


「これが正真正銘最後の一撃だ! 防げるものなら防いでみろよ!」


そう叫んで、片足で父さんの肩を蹴り、俺は上に飛び上がった。
< 1,465 / 1,486 >

この作品をシェア

pagetop