東京ルミナスピラー
父さんからすれば、素直にこの一撃を受ける必要はない。


片足を失い、片腕もなく、武器をまともに握れない俺など、攻撃を回避してからいくらでも仕留められる。


それでも父さんは、嬉しそうに笑って。


「良いだろう。お前の前の壁は、乗り越えるにはまだまだ高い壁だということを教えてやる!」


日本刀を掲げ、受け止める体勢に入ったのだ。


チャージされた日本刀を頭上に掲げ、父さんが待ち構える場所へと落下する。


さらにチャージ。


「この手で行けるか……頼む! この刃に破壊出来ない物はなし! 一撃必殺!」


不安の中で振り下ろした日本刀。


グッと力を込めた右手に……温かい、細い手が添えられたような気がした。


蘭子と同じように、灯の想いが俺を助けてくれているのか。


「お前の技は知っている! インスタントガード!」


父さんがそう叫ぶと日本刀が淡く光り、全力で振り下ろした俺の日本刀を受け止めたのだ。


どんな物でも破壊する必殺技が受け止められた!?


「一日一回、一度だけ、どんな攻撃にも耐えられる防御技だ。これが俺の切り札になるとは思わなかっ……」


勝ち誇った父さんは、その時の俺をどんな思いで見ていただろう。


残った足を振り上げ、俺が持つ日本刀の背を踏み付けたのを見て。
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