東京ルミナスピラー
誰かが願った世界で
〜万世橋警察署〜
「あのー、すみません。ちょっと前に歩行者天国の辺りでスマホ落としたみたいなんですけど、届いてませんかね? 黒くて結構いかつい感じのスマホなんですけど」
「いつ頃落とされましたか?」
「え、えっと、ほら、なんか化け物が現れた時あったでしょ? あの時、驚いて落としちゃったみたいで……」
「ああ、えっと……言われてるようなスマホはないですね。確認されます? iPhoneですか? Androidですか?」
この警察官の反応から、男が探している物はここにはないということがわかった。
となれば、長居する必要がなく、男は首を横に振ってため息をついた。
万世橋警察署を出た男は、中央通りの方に向かって歩き始める。
もしも、あれが落し物として届いていたなら、自分が望むことが出来たかもしれないという目論見があったのだが、どうやらそう上手くは行かなかったようだ。
ぼんやりと歩いていると、前方に見知った顔があった。
「おぉ? なんだよ黒井じゃないかよ! こんな所でお前と会うとはな。何してるんだよ」
「名鳥と……狩野か。何でもないよ。夢やぶれて、悲しみに暮れてるだけだ。お前らは幸せそうで何よりだよな。子供はいつ産まれるんだ?」
「あのー、すみません。ちょっと前に歩行者天国の辺りでスマホ落としたみたいなんですけど、届いてませんかね? 黒くて結構いかつい感じのスマホなんですけど」
「いつ頃落とされましたか?」
「え、えっと、ほら、なんか化け物が現れた時あったでしょ? あの時、驚いて落としちゃったみたいで……」
「ああ、えっと……言われてるようなスマホはないですね。確認されます? iPhoneですか? Androidですか?」
この警察官の反応から、男が探している物はここにはないということがわかった。
となれば、長居する必要がなく、男は首を横に振ってため息をついた。
万世橋警察署を出た男は、中央通りの方に向かって歩き始める。
もしも、あれが落し物として届いていたなら、自分が望むことが出来たかもしれないという目論見があったのだが、どうやらそう上手くは行かなかったようだ。
ぼんやりと歩いていると、前方に見知った顔があった。
「おぉ? なんだよ黒井じゃないかよ! こんな所でお前と会うとはな。何してるんだよ」
「名鳥と……狩野か。何でもないよ。夢やぶれて、悲しみに暮れてるだけだ。お前らは幸せそうで何よりだよな。子供はいつ産まれるんだ?」