東京ルミナスピラー
「……そんなわけでさ、母さんには困ったもんだよ本当に。いつもそんな感じなんだよ」
「面白いお母さんだよね。一度会ってみたいな。そのパワフルなお母さんにさ。あんまりベタベタされるとヤキモチ焼くかもしれないけど!」
灯と合流し、朝のことを話しながら街を歩く。
遠くにスカイツリーの見える道を、二人で。
「本当にやめてくれよ。想像しただけで恐ろしいよ」
だけど、なんだかんだ言いながら、灯と母さんは仲良くなれそうな気がするな。
そんな想像をしながら、二人であてもなく歩いて、疲れたら近くのカフェに入って休む。
いつもなら宗司と三人でカラオケに行ったりゲームセンターに行ったり、バカみたいにはしゃいでいるのに今日はなんだか様子が違っていて。
お互いに意識しているのか、いつものようなノリじゃない。
チェーン店のカフェでドリンクを飲みながら、間を持たせようと最近見た夢の話を始めた。
「最近さ、よく見る夢があるんだよ。俺と灯が義理の兄妹でさ、俺が灯の両親に引き取られて、一緒に暮らしてんの」
「夢かぁ。もしもそうだったら、ずっと一緒にいられるのにね」
何も考えずに、ニッと笑ってそんなことを言う灯の無邪気さが可愛い。