東京ルミナスピラー
「それで、ある日姉さんが学校から帰ってる時に、東京の街が光に包まれて出られなくなってさ、父さんが姉さんを助けに行くんだよ。だけど二人とも帰って来なくてさ。母さんに頼まれて、俺が父さん達を連れ帰ることになったんだけど」


俺がそこまで話すと、灯はストローをくわえながら不思議そうに首を傾げた。


「……あ、あのさ。私、葵にお姉ちゃんいるって言ったっけ? 言ってないと思うんだけど」


灯にそう言われて、俺も首を傾げた。


あれ?


そうだったっけ?


その割に、顔も名前も知ってるような気がするし、灯の両親の顔だって。


「そんなことないって。名鳥光だろ? 父さんは順一で母さんは明……じゃないのか?」


「嘘でしょ葵……なんでそこまで知ってんの? まさかストーカー……」


「なわけないだろ! 夢だよ夢! 本当にさ……夢で見たんだよ」


灯が本当に俺に言ってないとしたら、なぜ俺はここまで知っているんだ?


何か……今日が本当に特別な日のような気がして、胸のドキドキが抑えられなかった。


「まあ、葵がストーカーだとは思ってないけどさ、不思議なこともあるんだね。私と葵が義理の兄妹か……そんな未来もあったのかもしれないね」
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