東京ルミナスピラー
「パパ遅い! もっと早く歩いて!」


「勘弁してくれよ……何だって俺がお前の荷物持ちをしなきゃならないんだよ」


「パパはとても重い罪を犯したから、これくらいして当然。まだまだ許されないんだから」


灯と家に向かって歩いていると、まるで漫画やアニメのように山積みの荷物を持った男性と、中学生くらいの女の子が歩いて来た。


「ははっ。凄いね。漫画みたいだねあれ」


灯もそれを見てクスクスと笑う。


「な、なんだよ俺の罪って。相変わらずお前はおかしなことを言うよな。別にいいけどさ」


ヨロヨロと、前が見えているのか見えていないのかわからない様子で、パパと呼ばれた人が歩いて来る。


そして、中学生くらいの女の子はジッと俺と灯を見詰めて、満面の笑みを浮かべたのだ。


「やっと会えたな、葵、灯。蘭子はずっと待ってたんだぞ」


その言葉に、俺と灯は顔を見合わせて驚いた。


「あ、あ、ごめんね。うちの子、ちょっとアレな子で……この前も宇宙人と交信だとか、地底人の襲来だとか言っていたから……気にしないで」


父親が慌てて女の子を止めに入るが、その顔は……夢の中で見た黒井?


「黒井……」
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