東京ルミナスピラー
「覚えておくよ、北条葵。よく見ると可愛い顔してるじゃない」


「はいはい。仲間を三人も殺した人にそんなこと言われてもね……」


いつ、舞桜の気が変わるかわからなくて、こっちとしては早く西軍に帰りたいんだけどな。


そろそろ起き始める人達もいそうだし、西軍に侵攻した人達が戻って来たら、鉢合わせしそうで怖い。


「あ、そうだ」


「今度は何!」


言うなら一度で済ませてくれ!


「葵、私のパンツ見たでしょ?」


「い、いや、見られたくないならあんなの場所に立っちゃダメでしょ!」


歩道橋を指さして慌てて弁解するけど、舞桜はジッと俺の目を見て。


「エッチ」


そう言って野太刀を取り出すと、大きく飛び上がって歩道橋に乗り、どこかへ走って行ったのだ。


もう、何にどんな感情を抱いていいのかがわからない。


この歩道橋に飛び乗った跳躍力にも驚いたし、エッチと言った時の表情にドキッとしたし……と言っても、あの人は俺の仲間を殺した人なんだよなあ。


感情が渋滞して、怒っていいのか、助かったと安堵すればいいのかさえわからなくなっていた。


「見つからないように帰ろう……」


仲間を失った俺は、これ以上戦うことは考えなかった。


悔しいとか、恨みに思ってしまいそうになったけど……それは俺達が弱かったという事実を他人にぶつけているだけのように思えてしまって。


ただ、ホテルで待つ仲間達に、どう説明すればいいかと頭を悩ませながら歩いた。


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