東京ルミナスピラー
「あ、危な……また死ぬかと思った。それにしても、よくもまああんな鬼に勝てたもんだよ」
腹を斬られ、内臓がこぼれ落ちていた浜瀬さんも、ソウルストーンを使って回復したようで、俺と向かい合うように座ってため息をついた。
「いやいや、ほんまに死を覚悟したわ。まさかあんな状態から逆転勝利するとは思わんかったけど……少年。ちょっと死に急ぎすぎと違うか?」
中年男性がそう言って、ビルの上に目を向ける。
確かに、あれが上手くいかなかったらソウルストーンを使って回復した後に殺されて、二度と復活出来なくなっていただろう。
俺自身、あんな危険な賭けに出るなんて思わなかったけど、そうしなければここにいる全員が死んでいたに違いない。
「葵……良かった。腕がちぎれた時はどうなるかと思ったよ」
駆け寄ってきた灯が、俺の肩に手を置いて心配そうな表情を向けた。
「なんとか勝てたな……危なかったけど」
そんな灯の頭を撫でて立ち上がった俺は、中年男性と同じようにビルの上を見た。
あの時、どこからか飛んできた金属の棒が、鬼の目に刺さったから流れが変わったんだ。
それがなければ、俺達は何も出来ずに殺されていたから。