東京ルミナスピラー
「おい! どこに隠れとるんや! あんたが何者やろうと構わん! 出てきてくれや! 礼くらい言わせてくれ!」


謎の人物に聞こえるように、大声を出した中年男性。


俺達からすれば、この人も何者かわからないんだけど。


呼び掛けている間にPBSを開いてスキャンすると、この中年男性は「大和流歌(やまとるか)」という名前だと言うことがわかった。


「ちょっと、あんた達本当に大丈夫なの? こんな戦いを続けてたら、命がいくらあっても足りないんじゃないの……」


夕蘭が不安そうに、俺と浜瀬さんの姿を見て問い掛けた。


まあ、タケさんと比べたら俺達は頼りないかもしれないけど、弱いからこそ全力でぶつかっていると言うか……。


「でも、夕蘭は守れただろ?」


強がってそう言うことくらいしか出来なかった。


なんか、めちゃくちゃかっこ悪いな。


タケさんや父さんのように、力強く派手なわけでもないし、舞桜のように淀みのない華麗な動きができるわけでもない。


泥臭く、地面を這いずって、ほんの僅かな勝ちを掴み取るって感じがして。


イメージとはかけ離れた戦い方しか出来ないよ。


なんて考えながらため息をついていると、右側のビルの屋上から派手な蛍光オレンジのキャップがひょっこりと姿を現したのだ。
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