東京ルミナスピラー
そのキャップの人物はよほど警戒心が強いのか、入念に周囲を確認して、俺達以外に誰もいないことを確認すると、ふわりとビルから飛び降りて俺達の前に着地した。


「挨拶の前にお礼を言わせてください。光の壁周辺の鬼を退治して頂き感謝します。僕達もあの大軍には困っていまして、その脅威がなくなったのは大変喜ばしいことなんですよ」


姿を現さなかったことから予想はしていたけど、影が緑色だ。


全身オレンジ色なのに緑色の影というのが少し気持ち悪いけど、敵意はないことがわかる。


「礼を言うのはこっちじゃ。あんたのアシストがなけりゃ、ワシらは全滅しとったわ。それにしても……あの位置から投げた武器で、あの鬼にダメージを与えるとは。あんた、相当やるようやな」


「いえいえ、僕なんてまだまだですよ。その少年がいなければ成しえなかった勝利です。僕ではなく、少年を褒めてあげてください」


ついでにこの人もスキャンすると、南軍所属の「千桜拓也(ちざくらたくや)」。


そのおかしな色合いからは想像もつかないほど強いのは、今の戦いでわかったよ。


だけど不思議だ。


お互い敵軍同士なのに、助け合うことに違和感がない。


いや、これが普通なんだよな。


この街に染まれば染まるほど、それがわからなくなってしまうけど。

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