東京ルミナスピラー
しばらく、千桜さんと大和さんの視線が交差し、一触即発の空気が流れた。


ちょっとでも刺激を与えれば破裂してしまいそうな緊張感の中で、俺だけではなく、浜瀬さんも身動きが取れない様子。


どちらが先に動いて、どんな結末になってしまうのか……と思った時だった。



「だーっはっは! やらんやらん! いくらなんでも恩人にそんなことはできんわ! 千桜さんも人が悪いのう。ワシにその気がないことをわかってて、そんな殺気を放つんじゃから」


テーブルをバンバンと叩いて笑って大和さんは笑って見せた。


……いや、とても冗談とは思えない緊張感だったんだけど。


「変わった方ですね、大和さんは。ですが、冗談で安心しました」


ほら!


少なくとも千桜さんは本気にしてたじゃないか!


大和さんはどこまで冗談でどこまで本気なのかがわからないところがあるな。


気をつけないと。


「ところあやせくん。あなたはなんの為に戦っているか、何か目的は持っていますか?」


……あやせくん?


もしかして俺のことか?


「いや、俺は葵……」


「そんなことはどうだっていいんですよ! 何か目標を持っているかと聞いてるんです!」


名前を間違えたのは千桜さんなのに、訂正したらいきなりキレ始めたよ!


なんなんだよこの人は!
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