東京ルミナスピラー
準備を済ませた俺達は店を出て、浜瀬さんと別れた。


聖戦まで後数分。


辺りを見ると、ビルの上や車の影に隠れている人達がチラホラといる。


「てか千桜さん。南軍なのにここにいて大丈夫なんですか? 見付かったらやられちゃいますよ?」


人形町通りを南下しながら、堂々と歩く千桜さんに目をやると、何か違和感がある。


「ふふふ。キミの目は節穴ですかあやせくん。僕の影が今、何色かわからないんですか?」


そう言われてみれば、千桜さんの影は俺達と同じく赤色になっている。


さっきは緑色だったのに、なんで赤色になってるんだ?


「カモフラージュ機能じゃろ。今いる軍を示す色に変化して敵を欺くんや。でも、武器を取り出したら元に戻る。まあ、移動専用の機能やな」


「ご名答。この機能は誰でも使えますので、いざという時は使うといいですよ。敵に攻撃されないというのはそれだけで安心するものです」


なるほど、だから鬼と戦っている時、他にも西軍の人達が沢山いるビルの上にいることが出来たのか。


まあ、千桜さんなら敵だとバレても殺されることはないだろうけどさ。


「あー……なんか緊張してきた。聖戦とか初めてだから怖いんだけど」


夕蘭のその気持ちはわかるな。


そんなに回数をこなしているわけじゃないけど、俺だって最初は怖くて震えていたからさ。
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