東京ルミナスピラー
「ええか? 始まってすぐに突入するのは自殺行為や。特に南軍は統率が取れとるから、矢の雨あられであっという間にお陀仏や。せやから、西軍側のビルの中か車の影で待機するか、ビルの上から南軍に入る。地上よりは安全なはずやけど、それでも警戒はしとる」


通りの真ん中で、大和さんが周囲を見回して作戦を話し始めた。


「突入すると矢の雨はわかるんですけど、どうしてビルの中とか車の影に隠れるんですか? もしかして不意打ちの為に?」


俺も少し疑問に思っていたことを、灯が首を傾げて尋ねた。


「ちゃうちゃう。聖戦が始まると、お互いに光の壁を行き来出来るわけや。それは人間だけやないで。物の移動も出来るっちゅーわけや。つまり……手当たり次第に矢が西軍に飛んで来るってわけやな」


考えてみれば恐ろしい話だ。


北軍に攻め入る時みたいに、光の壁に張り付いて待機していたら、敵軍から飛んでくる矢に射抜かれる可能性が高いってことだよな。


……よく生きてたな、俺達。


「素晴らしい観察眼ですね大和さん。では、どうやって南軍に侵入すべきでしょうか? やはりビルの屋上からですか?」


南軍の人が、西軍の人を褒めるのは何だかおかしな感じだ。


攻め入ろうとしているのに、これだけ余裕があるということは、そうはならないという自信があるのかな。
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