東京ルミナスピラー
そう思って……この人物は俺より弱いと油断してしまったかもしれない。


一突きで勝負は決まると信じて疑わなかったし、マッキー＆翼を一撃で仕留めたことがその自信を持たせたのだろう。


だけど、日本刀はこの人物の顔の横を通り過ぎて、俺はそのまま二人の背後にバランスを崩しながら何とか着地した。


「お前……まさか俺より強いとか思ってるんじゃないだろうな？」


夕蘭と一緒に振り返ったその人物は、一本の短刀を持って俺を睨み付けたのだ。


何となくだけど、何があったかは理解出来た。


俺が日本刀を突き付けた時、こいつは短刀で攻撃をズラしたんだ。


「さっきも言った通り、この女はもらって行く。俺を止めることも出来ないだろ。お前程度の力ではな」


そう言うと、男は夕蘭を抱えたまま高速で俺に近付いて、腹部に強烈な蹴りを入れると、ビルの屋上へと飛び上がって消えてしまったのだ。


「げほっ！ ぐ……う、嘘だろ……何なんだ今のは！」


慢心がなかったと言えば嘘になる。


だけど、本気で挑んでも恐らく俺は勝てなかった。


いや、それよりも……俺の目の前で夕蘭が拐われてしまったことがショックだった。




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表紙・目次

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