東京ルミナスピラー
そう考えた俺は、男の攻撃よりも速くその場に飛び上がった。


空中からの一撃必殺!


足の下を日本刀が横に滑り、男の頭部がガラ空きになった。


「空中に逃げれば、身動きが取れなくなるぞ! 北条葵!」


回避したと思った攻撃が、今度は空中にいる俺に向きを変え、下から斜めに斬り上げる斬撃が迫る!


「ここだっ!」


だけど、俺はその攻撃が当たる前に、空中を踏み付けて日本刀の上に飛んだ。


「何っ!?」


完全に虚を突いた。


今までのような小振りの攻撃ではなく、この一撃で勝負を決める一振り。


落下しながら男の日本刀の背を蹴り、力が溜まった「一撃必殺」の一振りが男の頭上に振り下ろされた。


「くっ!」


キィン!


という、金属が折れるような音が聞こえた。


着地と同時に振り下ろした日本刀。


あの体勢から、それでもこの攻撃を防いだのは流石と言うべきか。


後方に飛び退きながら、攻撃を受け止めた男の日本刀は、真ん中から真っ二つに折れたのだ。


武器を折ることは出来た……でも、届かなかった。


「驚いたな……手加減したとは言え、まさか折られてしまうとは思わなかった。スピードに特化しすぎて、一撃を軽んじた罰かなこりゃ」


そう言った男のフードが縦に裂けていて……その間から微笑む男の顔が覗いた。
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