東京ルミナスピラー
この顔……見覚えがある。


「まさかとは思ったけど、確信が持てた。北条葵。キミは恵梨香さんの子供か」


裂けたフードを脱ぎ、顔を見せたこの男は。


「結城昴……」


「正解。でも、俺の方が歳上なんだ。せめてさん付けしてくれないかな?」


「……違う! そうじゃない! あんたの仲間が夕蘭を拐ったんだ! 津堂ってやつの居場所はどこだよ!」


結城昴に日本刀を突き付けてそう問い詰めると、両手を挙げて驚いた様子で。


「ま、待った待った! 俺は津堂の仲間じゃない! というか『池田派』じゃないんだよ! この格好はやつらに疑われないようにする為のカモフラージュさ」


どういうことだ?


南軍は一枚岩ではないと千桜さんは言っていたけど、カモフラージュしなければならないということは……内部で敵対しているのか?


「……よくわからないな。西軍で俺を助けてくれたり、こうして殺そうとしたり。あんたは何なんだよ! 俺はあんたに構ってる暇はないんだ!」


「俺は……ん? ちょっと待ってくれ。仲間から通信が入った」


俺と話している最中だというのに、結城昴はPBSを開いて操作を始めた。
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