東京ルミナスピラー
だけど、通信と言う割に、声は聞こえないし喋ってもいないじゃないか。


適当なことを言って逃げるつもりじゃないだろうな。


「まずいことになった。俺の仲間が『池田派』に捕まってしまったみたいだ。葵、ここは共同戦線といかないか? 俺とお前で、お互いの仲間を助けるってことで」


今の今まで殺し合いをしていて、それで一緒に戦おうだなんて。


こいつ、本気なのか?


「夕蘭を助けたいけど……俺は西軍で、あんたは南軍。信じろっていうのはおかしいよね? あんたが俺に嘘をついていない根拠は?」


「ない。でも、お前のお母さん、恵梨香さんに誓って嘘はない」


また……母さんか。


これだけ多くの人の心の中に生きてるなんて、思ってもみなかった。


そして、母さんの名前を出されると……俺は弱い。


「わかった。夕蘭を助けられるなら、誰の力だって借りたいからね。よろしく頼むよ、結城さん」


「ああ、こちらこそな、葵」


向けられた結城さんの拳に、俺も拳を当てる。


昨日、この街に来たばかりの時にポーンから助けてもらって、今度は一緒に戦うことになった。


あの時の強さと比べたら、確かに俺と戦っていた時は手加減していたと言える強さだった。


まだまだ強さの底が見えないというのは、味方としては頼もしいけど……敵になるかと思ったら恐ろしいな。
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