東京ルミナスピラー
橋の真ん中で話し込むのはあまりにも目立ちすぎるということで、近くのビルの中に入って作戦を立てることになった。


こんな街になってしまう前は、きっと普通の生活を送っていたであろう、生活感が残った部屋。


「いやあ、まいったで。黒いコートのやつらの強いこと強いこと。ワシなんかクソの役にも立たんから隠れとったら、千桜さんと灯ちゃんがあっという間に連れ去られてしもうた」


ソファにドカッと腰掛けて、天井を見上げて悔しそうにそう言った大和さん。


鬼と戦った時も、大和さんは直接戦うのが苦手そうだったもんな。


下手に手を出して死ぬよりは良かったかもしれない。


「それにしても、池田派は人を誘拐して何をしようとしてるんですか? 俺にはその理由がよくわからないんですけど」


「千桜さんを誘拐したのは、敵対するグループに向けての見せしめだろうな。聖戦が終わって、魔刻にショーの一環として殺すつもりかもしれない」


いやいや、敵対しているとは言え、同じ軍だろ?


千桜さんほどの強さの人を殺せば、南軍にとっては大きな痛手になることくらいわかってるだろうに。


「……夕蘭ちゃんがおらんやないか! 今気付いたわ! まさか、夕蘭ちゃんまで拐われたんかいな!」

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