東京ルミナスピラー
「助けを求めたいのはやまやまなんですがね。今の状況では表立って池田派と敵対出来ないんですよ。捕まった女の子二人が西軍だから、やつらは俺達が西軍と手を組んで南軍を売り渡そうとしている……なんてデマを流すでしょう。そこに、千桜さんを助ける為に大勢が押し寄せたら、池田派に俺達を攻める大義名分を与えてしまうことになるんです」


「やつらにしてみたら、それを狙っているようにも見えるな。南軍を自分の支配下に置くには、結城さん達が邪魔なわけやな」


悩んでいる二人の横で、俺も悩むフリをしてみるけど、思ったより話が単純じゃなくて本当に悩んでしまう。


仲間を助ける為になりふり構わず突っ込んでしまえば、南軍そのもののパワーバランスが崩れる結果になりかねない……ってことだよな。


もしも俺が、他軍の人達のことを考えずに、「西軍の北条葵」として戦うだけの存在なら、南軍が壊れようが気にも留めなかっただろう。


それが、色んな人と出会って、皆普通の人間なんだって改めて思って。


どんな結果であれ、俺が信じた人達は助けたい。


それがどんな未来に繋がろうとも。


「で、池田派の戦力はどんなもんや。ワシらが気を付けなあかんやつだけでええ。それがわからんことにはなんとも言えん」


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