東京ルミナスピラー
拓真が調子よくブルーシートを引っ張って、一気に謎の物体が露わになった。


だけど、そこにあったのはなんてことのないダクトというか。


屋上に備え付けになっているやつだった。


ただ、普通の物と違ったのは、不自然なくらいに金ピカで、太陽の光を眩しく反射していたのだ。


それを見た瞬間……結城さんが日本刀を抜き、金色のダクトを背を向けて俺達と向き合ったのだ。


いや、結城さんだけじゃなかった。


拓真がショートソードを結城さんに突き付け、それを見た舞桜が野太刀を拓真の首に添える。


「おい舞桜! 何してやがる! 相手が違うだろうが。武器を向けるべきは昴だろ!」


「お兄ちゃんを傷付けようとするやつは誰でも許さない! それが拓真、あんたでも!」


いやいやいや、いきなりなんだよ。


これがそんなに大事なものなのか?


今まで一緒に戦っていた人達がこんなになってしまうほど。


「葵っ! お前も姉ちゃんを助けたいんだろうがよ! 今、目の前にあるのが『キング』だぜ。南軍のキング。なるほどな、池田が調子に乗るわけだ」


その言葉を聞いた瞬間、俺の脳裏を過ぎったのは、姉さんの姿だった。


姉さんがこのキングを破壊すれば、元の世界に戻ることが出来る。


この街から、姉さんを家に帰すことが出来るんだ。
< 272 / 1,486 >

この作品をシェア

pagetop