東京ルミナスピラー
「待て! お前らは何の為にキングを狙うんだ! 拓真、わかっているだろ!? これを破壊したところで、根本的な解決にはならないんだよ!」


「わかってるぜ昴。俺とお前の仲だもんな。でもよ……それを待っていられない人だっているんだよ。少しでも早く苦しみから解き放ってやりたいって……そんな人もいるんだよっ!」


結城さんと拓真が掴み合って怒鳴り合う。


二人の言葉は耳に入らずに、フラフラとキングに近寄って手を伸ばした。


「これがキング……これを破壊すれば、姉さんが助かるんだ」


指先がキングに触れた瞬間、俺の視界を遮るようにして結城さんの日本刀が目の前に突き付けられる。


「葵……お前も近付くな! これを破壊されればレベルが半分になる。弱くなるということは、多くの南軍の人間がなぶり殺しにされる! 事情があるのはわかるけど……南軍の人間として、これを破壊すると言うなら斬る!」


「俺の姉さんが大変なんだよ! ソウルウェポンに選ばれなくて、鬼になっちまって! だけど心は人間のままで苦しんでるんだよ! 姉さんを助けたいんだ! それもダメだってのかよ!」


今の今まで、背中を預けて戦っていた仲間が、こうも簡単に武器を向け合うことが出来る。


煌我が言っていたのはこのことだったんだ。
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