東京ルミナスピラー
「わからない。姉さんは好きだよ。父さんが救おうとしていると同じくらい、俺も救いたいと思ってるけど、そういうことじゃないだろ?」


「難しいな。私はお兄ちゃんが好きだ。結婚をしたいと思ってるし、お兄ちゃんの子だって産みたいと思ってる。でも、聞いただろ? お兄ちゃんにはお嫁さんがいるんだよ」


「……高校生にする話かよ。でもまあ、辛いのはわかるよ。どれだけ好きでも、どうにも出来ないって苦しさは」


舞桜の結城さんへの一途な想いは、そのまま舞桜の強さになっていると思っていただけに、この話は受ける印象を大きく変えた。


舞桜は……泣いているんだ。


小さな子が、思い通りに行かなかった時に駄々をこねるように。


自分の心をすり減らしながら、八つ当たりのように武器を振るっていたんだな。


「まあ、話くらいならいつでも聞くよ。悩んでくれてるんだろ? 姉さんのことで。俺が答えを出せるとは思えないけど」


「葵……ふふ。ありがとう。さてと、私はひと眠りする。お前も休め。次の聖戦から忙しくなるぞ」


そう言ってエレベーターの方に歩いて行った舞桜は、少しだけスッキリしたような表情を浮かべていた。


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