東京ルミナスピラー
次の聖戦の時に、拓真達は北軍に戻るだろう。


そして、父さんに南軍のキングの場所を伝えるに違いない。


「そうなれば、姉さんを連れて南軍に向かうはずだ。聖戦の最中に、敵地を突っ切るのか?」


四階のエレベーターの近くにある部屋。


そこに入ってベッドに寝転がった俺は、ぼんやりとこれからのことを考えていた。


鬼に変化した姉さんを見られたら、北軍であろうが西軍であろうが、殺しにかかってくるだろう。


この街最強の父さんが守っているとはいえ、飛んでくる矢の一本でも当たれば死んでしまうかもしれない状況で、そんなことが可能なのか。


「やっぱり……俺も手伝いに行くべきだよな」


上手くことが運んで、姉さんがキングまで辿り着いた場合、破壊すれば外に出られる。


そうなればしばらくは姉さんと会えなくなるわけだから。


家で待ってて。


皆で外に出て、家に帰るから。


そう伝えたいよな。


「よし。そうと決まったら寝るか」


と、起き上がってブレザーを脱いで、部屋の入り口近くにあるハンガーにかけた時だった。


コンコンと、ドアをノックする音が聞こえた。


「葵、ちょっといい?」


その声は……灯だった。
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