東京ルミナスピラー
「え? あ、ああ、今開ける」


灯の声に、慌ててドアに駆け寄って。


ドアを開けると、いつもの感じとは違う服装の灯が立っていた。


結城さんの仲間が用意してくれた服だけど、いい意味で灯らしくない。


「な、中に入ってもいい?」


「いいけど……どうしたんだ?」


俺が尋ねても灯は何も言わなくて、部屋に入るとベッドに腰掛けた。


俺、今から寝ようと思ってたんだけどな。


「葵……何かあった? 私達を助けに来てくれたのは嬉しいんだけど、なんか、色んな人達と一緒にいたよね。杉村さんと戦ってた人もいた。あの人達ってもしかして、お父さんの仲間なの?」


隣に座った俺を、真面目な顔で見詰めて尋ねた灯。


冷静になって考えたら、北軍との接点なんてそれくらいしかないとはいえ、随分鋭いな。


「お前と夕蘭と千桜さんが池田派に拐われてさ、俺を尾行してた拓真と舞桜と一緒に、南軍の結城さんと人質奪還をしたんだよ。まあ、一人はなんかやられちゃったみたいだけど」


灯には、姉さんが鬼になっていることも、キングを見付けたことも言えない。


言う必要がないんだ。


姉さんがキングを破壊すれば外に出られる。


何も知らなくていいんだ。
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