東京ルミナスピラー
でも、それが正しいことなのか俺にはまだわからない。


姉さん一人を助ける為にキングを破壊すれば、南軍の人達全員のレベルが半分になる。


それは、人ひとりの脱出の対価として果たして釣り合いが取れるものなのか。


「また何か考えてる。葵ってさ、昔からそうやって寂しそうな顔するよね。小さい頃からずっと変わらない」


さすがは妹……血の繋がりがなくても、一緒に育ったから良く見てるな。


「はは……そうかな。なあ、灯。もしもだぞ? 俺が死んでグループの皆が助かるのと、俺が生きてグループの皆が死ぬ可能性が高くなるなら……お前はどっちを選ぶ?」


なんて、言葉にすると平等ではない条件だというのがわかる。


今の状況と完全に合致しているわけではないけど、灯はどんな答えを出すかなと思って、灯に顔を向けると……。


「え?」


そっと、灯の手が俺の頬に添えられた。


ゆっくりと、俺に近付くにつれて瞼を閉じる灯。


そして……唇が重なり、何が起こっているかわからない中で、頭の中が真っ白になるような感覚に包まれて俺も目を閉じた。


どれくらいの時間をそのままでも、過ごしたのかはわからなかったけど、とても安らぐ時間だった。
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