東京ルミナスピラー
鬼……そう、鬼だ。


人の形をしているけど、右目の上から禍々しいツノのような物が生えている。


ボロボロのスーツを着ているけど、その手には人間の脚と思われる物を持っていて……それを口に運び、肉に食らいついたのだ。


「ひ、ひいいいいっ! 両国の鬼ぃぃぃっ! 本当にいたああああっ! てか、ここって秋葉原だろ!?」


宗司が悲鳴を上げると、鬼は嬉しそうにニタリと笑って。


俺達に向かって満面の笑みを浮かべながら駆け出したのだ。


ヤバい!


ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!


人間を食う鬼が目の前にいるなんて、冗談じゃない!


「に、逃げるぞ! 光の外に!」


灯の手を取り、宗司の背中を叩いて今来た道を戻る。


父さんと姉さんを連れて帰るって母さんに言ったばかりだけど、こんなのは聞いてない!


まさか鬼がいるなんて!


「えひゃひひゃひゃひゃひゃっ!」


まるで理性なんて何もないような声を発しながら、俺達を餌としか見ていない獣のように追い掛けてくる。


だけど、光の壁に入ったばかりで助かった!







と、思ったけれど……俺達は光の壁にぶつかり、弾かれて外には出られなかったのだ。
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