東京ルミナスピラー
「終わりか、葵。想いだけじゃ力をねじ伏せることは出来ない。力だけでも想いを折ることは出来ない。お前に足りないのは力か? それとも想いか?」


結城さんの日本刀が、俺の喉元に突き付けられる。


今、この体勢を維持しているのが精一杯で、とてもじゃないけど攻撃も防御も出来ない。


「俺は……俺の望みは! 姉さんが無事にこの街から出られることだ! こんなところで! あんな姿で死なせてたまるかよ! 俺が負けても父さんがやってくれる! 拓真が! 舞桜が! 吹雪さんが! タケさんだって! 姉さんが街から出ることが、俺の一番の望みだ! それを叶えられるなら……俺一人が死んだって構わない」


叫ぶように想いを吐き出した俺は、結城さんを睨み付けるように見据えた。


日本刀か、俺の首を薄く切って、痛みと共に血が流れ落ちているのがわかった。


「そうか。お前の望みはわかった。だが俺は容赦しない! お前が真実に辿り着く前に、その命……もらうぞ!」


喉元に当てられていた日本刀が離れた。


振り上げて、一気に俺に振り下ろすつもりなのだろう。


ソウルストーンを使って回復したいけど……腕が動かないや。
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