東京ルミナスピラー
「どういうことだ……俺達に同情して、剣を納めてくれるっていうのかい? だとしたらありがたいねぇ」


結城さんも月影も、武器を手放した。


戦う意思はもうないってことか。


「同情していたからこそ、あなた達を通すわけにはいかなかった。名鳥さん程の方が、まだ気付いていないんですね」


父さんも槍を離し、釈然としない様子で首を傾げた。


「名鳥さん、キングはあのブルーシートの下です。好きにしてください」


「昴……すまないね。だけど、最初からそのつもりなら、もっと早くにそう言ってくれても良かったんじゃないの?」


「いえ……最初はそのつもりはありませんでしたから」


もしかしてタケさんが言っていた、俺の信念で結城さんの信念を折ることが出来たのか?


そう思ってチラリとタケさんを見てみると、目を閉じて仏頂面。


……そんなわけないよな。


どう控え目に見たって、姉さんの姿を見て同情してくれたって考える方が自然だ。


PBSを開き、ソウルストーンを使って回復した俺は、姉さんをおんぶしてキングの場所まで向かった。


「葵におんぶしてもらえるなんて……大きくなったのね、本当に」


「俺で良かったら、いつでもしてあげるからさ。家に帰って待っててよ」
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