東京ルミナスピラー
キングの前、ブルーシートを剥がしてくれたのは南軍の人達だった。


今まさに、目の前でキングが破壊されようとしているのに、この人達は止めようとしないのか。


ここに来てから、何から何まで不可解なことばかり起こっている。


姉さんをキングの前に下ろすと、いよいよ体調が悪化したのか、咳と同時に血を吐き出した。


「こりゃあまずい。光、ほら……ここに光ってる物があるだろう? これをお前が壊すんだ」


「壊……す? お父さん、私には無理だよ。そんな力……私には……」


姉さんがそこまで言って、俺はやっと違和感に気付くことが出来た。


結城さんも月影も……南軍の人達でさえも。


いや、もしかするとタケさんもとっくに気付いていたのかもしれない。


それを知った上で、姉さんの最後の散歩に付き合ってくれたんだ。


「力なんて必要ないさ。ソウルウェポンで一突きするだけだから……」


「ソウルウェポンって……何なの?」


姉さんのその言葉が、全ての音を消し去ったかのように、何も聞こえなくなった。


頭の中が真っ白になる感覚に似ている。


そうだ……姉さんは、ソウルウェポンに選ばれなくて鬼に変化したんだ。


ソウルウェポンなんて、あるはずがないじゃないか。
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