東京ルミナスピラー
新世界
「光に触るな! 離れろ馬鹿野郎! 光は俺の娘なんだよ! 誰にも触らせねぇぞ!」
姉さんの遺体を抱き締めたまま泣きじゃくり、キングから離れようとしない父さん。
その気持ちは痛いほどわかる。
声を上げて泣く灯にしがみつかれながら、俺は……ただ呆然と空を見上げることしか出来なかった。
心に穴が空いたような……心がなくなってしまったような、強烈な喪失感に襲われて、身体に力が入らない。
吹雪さんも、拓真も、舞桜でさえも、姉さんの死を悲しみ、涙を流してくれている。
「名鳥さん。悲しいでしょうけど、光ちゃんを早く火葬した方が良いです。遺体をそのままにしておくわけにはいきませんよね? 腐敗したり、鬼に食べられたりするのを見たくないはずです」
そんな中で、月影が言った言葉に父さんは怒りを露わにした。
「貴様っ! 娘を燃やせって言うのか!? よくもそんなことが!」
「あなただけじゃなく、家族の為に言ってるんです! 土葬にすれば、鬼に掘り起こされて食べられるかもしれません! 悲しいかもしれないけど、火葬するしかないんですよ! それに……これで終わりじゃないでしょう! その希望まで捨てるつもりですか!」
姉さんが食われると考えると……確かに土葬よりも火葬の方がいいかもしれない。
だけど……急にそんなことを言われても、受け入れられるはずなんてなかった。