東京ルミナスピラー

バラバラの心

深い、深い闇に光が射して、冷たい感覚が緩やかに温められていく。


水の中にいる感覚に似ている。


必死にもがいて、水面に顔を出して息をしたと同時に……俺は目を覚ました。


ここは……アジト？


ホテルのロビーだ。


俺は死んだのか。


これが死の感覚なのかと、自分の手を見つめていると……。


「うおおおおおおい！ お前、どこにいたんだよ葵！ てか大変なんだって、大変すぎて何から話せばいいかわかんねぇ！」


ソファに座っていた宗司が、俺を見るなり慌てた様子で立ち上がって駆け寄って来た。


そしてそれを見た、こちらに背を向けていた杉村や舞美さんも振り返って驚いた表情を見せた。


「ピヨ！ ピヨじゃねぇかよ！ 何がどうなってるんだよ意味がわからねぇ！」


「ちょ、ちょっと皆、落ち着いて！ 皆でパニックを起こしてたら、葵くんもわけがわからないでしょ！」


舞美さんの言う通り、何が何だかよくわからない。


それよりも、まだ死んだ時の感覚が残ってる。


今の今まで、ポーンと戦っていたような感覚だ。


「そ、そうだな。ここは俺が落ち着いて話すぜ。いいか、まず……灯ちゃんがいなくなっちまった」