東京ルミナスピラー


「……で、なんでこんな所にいるんだ俺達。浅草橋駅の方に行こうとしてたんけど」


「バカかお前! まずは高い所から偵察ってのは基本だろ! ここらで一番高いこのビルから下界を眺めてだな。様子を見るんだよ」


宗司に連れてこられた場所。


円柱を縦に四等分したような形のビルで、そこから宗司が親指と人差し指で作った丸を覗くように、地上を見ている。


一体何をしているんだろうと思ったけれど、宗司にはそれで遠くまで見えているようだった。


「なるほどな……一本角の普通の鬼、真っ白な二本角の鬼、色々いやがるな。こいつらを押し戻して陣地を取り返すの、かなり骨じゃないか?」


「いや、それどうなってんの? 本当にそんなので見えてるわけ?」


俺が尋ねると宗司は勝ち誇ったような表情で。


「それが見えてるんだなぁ。偉い人は言ったんだよ。敵を知り、己の尻は百戦アジスアベバ……って、なんかそんな感じ」


「そんな格言ねぇよ」


俺はそんなことをしても見えないから、ここにいてもよくわからないんだよな。


何もすることがないから宗司に任せるしかないんだけど。


と、起きたばかりであくびをした時だった。

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