東京ルミナスピラー
「ん? なんだ……あいつら。おい葵、あそこ見てみろよ」


「いや、見えないって。何がどうなってるか説明してくれ」


俺の服の袖を掴んで引っ張る宗司に、呆れながらそう言ったけど、いつになく真面目な表情だ。


「緑の影のやつが三人……白い二本角を捕獲した? 鎖で繋いでやがる。あれは……捕縛の鎖か」


緑の影?


南軍の人間が西軍の中にいるのか?


三人がかりとはいえ、ポーンを倒せるような強い人は限られている。


「どんな人だ? 全身オレンジ色の人がいたりするか?」


「全身オレンジ? そんなとち狂ったファッションのやつ、いるわけねぇだろ。黒いコートを着てるな。フードまで被ってるから顔は見えねぇ。あ、動き出したぞ。両国の方に向かってる」


高い所から見ると、この街がどうなっているのかよくわかる。


各軍を仕切る光の壁は、バベルの塔の付近で途切れているのだ。


「もしかして津堂達か? 池田派は解散したのに、何か企んでるのかな」


「さあな。多分、あの光の壁の切れ目から南軍に戻るんじゃないのか? まあ無視だな。敵なんてどうでもいいわ」


ポーンを捕獲しているのというのが気になるところだけど、西軍に攻撃を仕掛けているわけじゃないなら今は放置してもいいのかもしれないな。


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