東京ルミナスピラー
「そ、宗司っ!」


「まずいぞ、まさかこんな鬼がいるなんて……なんだこりゃあ!? 変異種『ポーン』だって!?」


PBSを開き、この鬼を調べたのか、浜瀬さんが驚いたような声を上げた。


変異種だろうがなんだろうが、そんなことはどうでもいい。


俺の目の前で宗司が、この鬼に食われてしまったんだぞ!


身体の震えをなんとか振り払い、日本刀を握り締めて鬼を……ポーンを睨み付けた。


ポーンの足元に落ちた宗司の残骸が、光の粒へと変化していく。


そうか……ソウルストーンを消費して、ホームポイントに戻るんだな。


「相手が悪い! 逃げるぞ葵くん!」


そう言った浜瀬さんが、俺の方に向かって走ってくる。


そんな俺達を見て、ポーンは首を傾げて。


次の瞬間、浜瀬さんの背後にポーンが移動していて、首が刈り取られて、頭部を失った身体だけが俺の方に向かって走って。


ポーンの口に浜瀬さんの頭部が入ったと同時に、身体が地面に倒れて光の粒へと変わったのだ。


あまりにも速くて、何がどうなっているかがわからなかった。


こんなの……勝てるはずがない!


完全に萎縮した俺は、まるで蛇に睨まれたカエルのようで。


ただ、何をしても死ぬんだろうなということだけは理解していた。
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