東京ルミナスピラー
日本刀を構えたまま、身動きが取れない。


ほんの僅かでも動けば、俺は殺されてしまうと感じ取っていたから。


ポーンはそんな俺の気持ちを知ってか、ゆっくりと歩いてくる。


そして……鋭い刃のような人差し指を振り上げて。


あ、死んだ。









そう思った時、空からそれは降ってきた。









くるくると身体を高速回転させて、俺とポーンの間に着地すると同時に、目の前の人物はその2本あるうちの一本のツノを切断したのだ。




「ギャーーーーーゥッ!」




「なんだ、喋れるんじゃないか。それにしても……随分硬いじゃないの」


まるで流星のように地面に降り立ち、浜瀬さんでさえ手も足も出せなかったポーンを、目の前の男は一刀でツノを折って見せた。


「お、俺と同じ日本刀……」


男が握っているのは、俺と同じ武器だった。


「グウウウウッ! キサマ、許サレンゾ!」


ツノを折られたポーンが、大きく後方に飛び退いて、男を指さして恨めしそうにそう言い放った。


「喋れるのかよ。ま、ただ唸られてるよりそっちの方がわかりやすいよな」


男が笑いながらそう言うと、ポーンはそれには答えずに秋葉原駅の方に向かって走って行った。
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