東京ルミナスピラー
「おいおい、許されんぞとこ言っておいて逃げるのか。さてさて、危ないところだったな、『少年』」


ポーンが消えたのを見届けて、小さく吐息を漏らすと、日本刀を手から離して俺の方を向いた。


俺はと言うと……情けないことにまだ日本刀を構えたまま動けなくて。


「……はぁっ! はぁ……はぁ……宗司が死んだ! 浜瀬さんだって! なのに俺は……何も……」


完全にポーンがいなくなって安全だとわかった瞬間、金縛りが解けたかのような感覚に包まれた。


「落ち着け。あんなのを相手にしてちゃ、ソウルストーンなんてすぐになくなっちまうぞ。敵は鬼だけじゃない。他軍の人間とだって戦わなきゃならないんだ」


この男の人、とてつもなく強かったけど、俺がピンチと知って助けてくれたのかな。


「あ、ありがとうございます。助かりました」


年齢は……30代前半くらいに見える。


無精髭が生えているところが、うちの父さんをどことなく感じさせて安心感があるのかもしれない。


「鬼を倒すのは結構だが、この街に来たばかりなのか? 注意力が散漫だし、確認すべきことも確認できていない。もしも、俺がキミを殺そうとして接近していたら、こうして話なんてできていないぞ?」
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