東京ルミナスピラー
吹雪さんが結城さんに詰め寄り、胸ぐらを掴んで怒鳴りつけた。


その迫力に、結城さんでさえ驚きを隠せないでいたようで。


目をまん丸にして吹雪さんを見ていた。


「あんたが葵を見極めるのは勝手にすればいいさ。だけど、その結果に関係なく、私達はその情報の真偽を突き止める。これ以上他軍まで掻き乱されちゃあたまらないからね!」


「……やっぱり姉妹ですね。雨村さん。それに、その真っ直ぐなところは恵梨香さんにも似ている。でも、俺は信念を曲げません。『運命の少年』は、俺も高山真治も高校生だったからそう呼ばれるようになっただけです。誰もやらないなら、俺がやりますよ」


しばらく、結城さんと吹雪さんは睨み合ったままだった。


お互いの信念がぶつかった時、そこには争いが生まれるというのがわかる。


まさに一触即発。


だけど、その睨み合いから先に降りたのは、以外にも吹雪さんだった。


「やれやれ。恵梨香が言ってた通りだよ結城昴。あんたは頑固だってね。しっかりとした信念を持ってるから、絶対に折れないってね」


「わかってもらえて何よりです」


呆れたようにそう言った吹雪さんに対して、微笑む結城さん。


信念か。


俺には、そんなにしっかりとした信念があるのかな。


姉さんと父さんを連れて帰るという約束は、現時点では果たせなくなってしまったから、俺は流されるままに戦っているような感じがしてしまう。
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