東京ルミナスピラー
「いやいや、ちょっと待ってください! 灯はダメです! こいつは口うるさいけど、戦うなんてとてもできませんよ!」


慌てて杉村と灯の間に入り、腕を広げて首を横に振る。


冗談じゃないよ、灯を戦わせるなんて。


そうじゃなくても、PBSを起動しただけで鬼になる可能性があるんだろ?


もしものことがあったら、俺は父さんや母さんに会った時になんて言えば……。


「オメェに聞いてねぇんだよ。俺が知りたいのは、灯ちゃんの言葉だけだ。ひよっこがピヨピヨ鳴いたところで俺は知ったこっちゃないね」


「くっ! ピ、ピヨピヨ!?」


悔しいけど、俺は反論できるほど強くはない。


となれば、後は灯が断るのに期待するだけなんだけど。


「で、でも……PBSを起動して、鬼になる人もいるんですよね?」


「安心しな、灯ちゃんは鬼にはならねぇ。俺が保証するぜ」


「どうしてそんなことがわかるんですか? 私……怖いんです。もしも私が鬼になって、葵を食べようとしたらって考えると」


「絶対に鬼にはならねぇって。これだけは確実に言える。灯ちゃんは名鳥順一の娘だろ? だったらその血を信じろ。このピヨピヨうるせぇやつより、間違いなく強くなれる」
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