東京ルミナスピラー
中央通りに出ると、さっきよりも人通りは多くなっている。


まあ、元々の世界の人通りと比べたらそれは天と地ほどの差はあるけど。


それでも、俺の視界の中にいる人だけでも100人は超えているんじゃないかと思うよ。


「こ、この人達も聖戦に……北軍に、人を殺しに行くんですか」


「そうだね。どうしたの? まさかここまで来て、怖いなんて言わないよね?」


舞美さんが俺をからかうように笑ってみせるけど、怖くないはずがない。


「そ、そりゃあ……怖いですよ。相手は人なんでしょ? 殺しても生き返るとは言え……鬼を倒しても武器レベルは上がるんですよね? じゃあ、何も人間同士で殺し合わなくても……」


「ヘイヘイヘイ! ビビってるピヨに俺が優しく教えてやるぜ。いいか? 光の壁に囲まれたこの街では、元々あった食い物はカッチンコッチンになってて、食えたもんじゃねぇ。つまり、いくら金を持ってても食い物が買えねぇんだよ」


素朴な疑問を口にすると、杉村が両手で俺を指さしてバカにしたように。


いや、多分この人はこれが普通なんだ。


そう思わなければ殴ってしまいそうだ。


「……なんか、そこまで言われたら大体想像がつきましたよ」
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