東京ルミナスピラー
「そうそう、灯ちゃんは危ないと思ったらピヨを盾にしなよ? 可愛い顔にキズがついたら困るからね。そうなったら俺は……」


いつまでもそんな話を続ける杉村に、俺の苛立ちは限界を超えた。


「いい加減にしろよ! さっきからなんなんだよあんたは! ベラベラベラベラと喋ってばかりでさ! 他にももっと話すことがあるんじゃないのか!?」


杉村の胸ぐらを掴んで、周囲の人の目も気にせずに俺は怒鳴りつけた。


こっちはこの街に来て慣れてもいないうちから聖戦に参加するっていうのに、この人はなんなんだよ!


周囲の人達は一瞬、俺の方に目を向けたけれど……よくある光景だと言わんばかりに目を逸らして、光の壁に向き直った。


「ごめんね、葵くん」


そして、杉村ではなく、舞美さんが俺の肩に手を置いて謝ったのだ。


舞美さんは何も悪いことをしていないのに、どうして謝るんだ?


「怖いのよ、私も杉村さんも。だってそうでしょ? 葵くんと灯ちゃんは初めての聖戦だけど、私達も初めてなの。だから、少しでも不安を取り除きたいんだよ」


そう言われて……俺は何も言えなくなった。


確かに杉村の話は鬱陶しかったけど、それは不安を紛らわそうとしていただけで。


それに対して、俺は怒りで不安を紛らわそうとしていたのかもしれないと思ったから。


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