東京ルミナスピラー
今、吹雪さんはなんて言った?


この男を「真治」と呼んだのか?


真治……高山真治。


俺の父親だと言われている男。


「素性を明かす必要なんてないでしょう。俺は葵に父親らしいことは何一つしていないんです。恵梨香に任せて、俺はずっと逃げていただけですからね」


待て待て、あまりにも突然のことで全く頭が理解してくれない。


こいつが俺の父親だって?


母さんと俺を捨てて、どこにいるかもわからなかったやつが……顔を見たら一発ぶん殴ってやろうと思っていたやつがここにいるんだ。


「逃げてたって……まさか」


吹雪さんが、宙に浮かぶ黒井と呼ばれた悪魔に目を向けると、目の前の男も黒井を睨み付けた。


「フハハハハハハッ! 苦労したぞ。この世界に持ち込んだPBTは、どれだけ研究しようとも全く起動しなかった。18年だ! 18年、研究し続けて……俺は辿り着いたんだ。高山真治。お前の絶望でこの街は造られた。それには感謝しているよ」


わからない。


一体何を言っているのかがさっぱりわからない!


どういうことだ?


このクソ親父の絶望からこの街が造られた?


だとしたら……姉さんが死んだのも、灯が化け物になったのも、元を辿れば全部こいつのせいなのか!?

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