東京ルミナスピラー
「神に向かうか小僧。身の程を知れ! 貴様など相手になるか!」


俺の恨みを込めた攻撃は、ことごとく防がれ……そして、黒井の目にも留まらぬ速さの回し蹴りが俺の腹部に直撃した。


凄まじい勢いで屋上に叩き付けられて、吹雪さんの足元に転がる。


「あ、葵っ! 嘘でしょ……どれだけ強いのよ黒井。杏子! 灯を連れてここから離れて! 死にたくないでしょ!」


「え、ええっ!? わ、わかった!」


まるで話にならない。


かなり強くなったと思っていたのに。


つよさランキングトップ10入りしている緑川を倒せるくらいには強いはずなのに。


蹴り一発で、身動きが取れないくらいのダメージを負わされるなんて。


灯を背負って、ビルの中に入って行った杏子を見ながら、何とかPBSを開こうと必死に手を動かそうとするが……身体が動かない。


「どこに逃げるつもりだ。お前達が遊んでいる間にも、このビルは鬼で包囲したぞ。ネズミ一匹たりとも逃すか。お前達の願いの力と絶望が、この街を次の段階へと引き上げるのだ」


嘘だろ……このビルを鬼が包囲してるだって?


何とかしないといけないのに……身体が動かない。








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