東京ルミナスピラー
「ああっ! もうっ! 一体どうすれば良いのよ! 葵! ほら、しっかりしなよ!」


吹雪さんが俺の腕を掴んで、必死に声を掛けるけど、俺の身体は相変わらず動かないままで。


さっきの蹴りで内臓が破裂でもしたか、それとも力を奪われたのか。


そんな脱力感に包まれていた。


「吹雪さん、葵を連れて逃げてください。黒井と下の鬼は俺がどうにかします」


「どうにかって……あんた一人で何が出来るって言うんだよ! とんでもなく強いのはわかってるけどさ、黒井だってこんなに……」


ぼんやりと見ている俺の目に、高山真治が空に向けて手を伸ばし、パチンと指を鳴らす姿が映った。


と、同時に、白い巨大な蜘蛛のような鬼……ナイトが四匹、屋上に現れたのだ。


それが次々とビルから飛び降りて行く。


「フハハハハハハッ! 何を召喚するかと思えば……ナイトか! 『バベル』の英雄も、大した力がないと見える! たった四匹で俺の鬼達を倒せると思うなよ!」


「それだけじゃないさ。これをやると街が壊れるから嫌だけど……仕方ない!」


黒井の挑発に、高山真治はさらに祈りを込めるように、拳を額に付けて。


そしてそれを空に向けると、黒い空が一瞬光った。


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