東京ルミナスピラー
〜南軍〜


灯が死んだあの日から、世界は変わったと皆口を揃えて言う。


その日から東軍の侵攻が激しくなったからということが理由に挙げられるが、それだけではない悲しみが漂っているような。


結城昴はマンションの屋上に立ち、スカイツリーを見ながら決戦の時が近いのを感じていた。


「どう思いますか千桜さん。俺の力で黒井に勝てますかね?」


「正直厳しいでしょうね。わたるくんは確かに強いですが、黒井の力はそれ以上です。何より厄介なのが、人間と鬼の両方の特性を持ち合わせているということです」


千桜が言ったその特性とは、スキルに頼ることなく空を飛べたり、炎を吐くという特殊な能力。


そして武器をも使いこなす人間としての力の両方が備わっていることだ。


さらに言えば、武器の強化も可能だった。


人間と鬼のハイブリッドのような黒井に頭を悩ませるのは、至極当然のことだったのかもしれない。


「つまり……これ以上邪魔をされない為には、ソウルストーンで復活出来ない状態で殺さないとダメってわけですか」


「そうですね。後は、黒井は無視してバベルの塔へ向かうか……ですが、恐らく邪魔をしてくるでしょうね」
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